昔の田原の物語 // ORAL HISTORY

日本に来て20年強となるスイス人クリエーターが、田原に生まれ育ったご老人9名の生い立ちや思い出を聞き取り、口伝でしか残せないまちの物語を記録していくヒューマンオーラルドキュメンタリー。

戦争や高度成長期、長い苦楽の年月を積み重ねたご高齢の方ならではの生き生きした言葉には、当時の様子が目に浮かびます。いまを生きる私たちが次代に残すべきことはなにか、答えを探しに耳を傾けてみてください。

so+ba

so+ba

Susanna Baer(スザンナ・ベアー)とAlex Sonderegger(アレックス・ソンダーレッガー)はスイス⽣まれ。2001年に東京でデザインスタジオso+baを設⽴。スイスと⽇本でのグラフィックデザインと広告の経験や、両国の異なる⽂化に精通していることから、異⽂化コミュニケーションに特化し、強みの⼀つとする。グラフィックデザイン、アートディレクション、サウンドの視覚化、タイポグラフィとデザインの教育の分野においても活躍する。

WEB:https://so-ba.cc/

【プランニング、リサーチ、録音編集】
守屋慎一郎、綿貫美紀、松野由夏、木村昂介(スパイラル) / 鈴木由美子(田原市)

KAWASAKI Masao

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芭蕉と杜国の話

一番好きな句は「春ながら名古屋にも似ぬ空の色」。この句には杜国の心がとてもよく表れていると思う。

川崎政夫

1941年、大阪生まれ。戦時疎開で椰子の実のようにぷかぷかと彷徨いながらこの地に辿り着いた。元英語の先生。渥美の人たちはここにはなにもないというが、そんなことはない、宝はいっぱいあると思っている。

KOKUBO Teruko, ISHIBASHI Ayako, NAITO Hiroko

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子どもたちの暮らしの話

戦争中は挺身隊で工廠に行っていた。勉強なんてやったもんじゃないわ。でもねえ、ここらほどいいところはないよ。照るにつけ、降るにつけ、ここらはいいところだよ。

小久保テル子・石橋あや子・内藤弘子

伊良湖地区周辺で生まれ育った仲良し3人組。小久保さんは学生のときに戦争を体験。戦時中、豊川用水ができる前とできた後、伊良湖の暮らしの変化をずっと見てきたこのまちの生き字引。

YAMADA Hisao

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工事の話

何事も言われた通りにはやらない方。どうしたら今度は楽にできるかっちゅうことを考えて、仕事やっとるから。熱が入っちゃうね。

山田久夫

1938年、旧田原町生まれ。元渥美運輸取締役。豊川用水の工事にも運輸業で関わる。ほんとうに仕事が大好きな働き者。田原市で一番好きな場所はやっぱり伊良湖岬。

OGAWA Nobuhide

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漁業の話

漁師になったのはマイペースでやれるから。気が向かないときは漁に出ない(笑)。

小川伸秀

1956年、小中山生まれ。先代も漁師で、最初は商船に乗っていた。漁師になってからは30年ぐらい。アサリ漁や海苔づくりが多いこの地区では数少ない魚獲り。好きな食べ物は煮干し。

NAKAGAWA Miyoko

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料理の話

残したいと思うのは行事食。若い人たちにはレシピじゃなくて味で覚えてほしい。だから私たちの料理はいい加減なんです(笑)。

中川美代子

1938年、古田地区生まれ。1983年に生活改善グループ「輝きネットあつみ」の会長を務める。JA愛知みなみ初代女性部長。今は友達とグランドゴルフを楽しむ日々。好きな食べ物はハゼの昆布巻。

YAMADA Masatoshi

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街道の話

田原街道という名前がついたのは明治に入ってから。ただ江戸時代も道そのものはあって、渥美半島の主要道の中では一番人通りが多かったようです。

山田政俊

1944年、野田地区生まれ。県内で教員になり、野田小学校で校長を勤め上げました。観光体験博覧会「たはら巡りーな」で体験メニュー「芭蕉も歩いた田原街道おしゃべりウォーキング」を開設。田原街道を歩くことの楽しさを伝えている。

FUJISHIRO Nobuyuki

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農業の話

農業だけじゃなく飲み水も雨水に頼っていました。豊川用水ができて一気に農業が変わった。私たちの今の暮らしは豊川用水のおかげです。

藤城信幸

1954年、表浜(南神戸)地区生まれ。生まれた頃は半農半漁の集落でイモや麦といった畑仕事と地引網が行われていた。地形・地質研究や絵が趣味で、講演会や作品展を毎年開催している。元校長先生。